2018/05/08 リサイクル
ベッド回収後にスプリングベッドのマットレスを解体
引越しやベッドの買い替えでベッドの処分に困った・・・
どうしようと考えたことのある方は多くいるかと思います。
ベッドを処分するには事前に各自治体(クリーンセンター)などに電話して指定された日時の朝に自分でベッドを分解して背板、横板、マットレスなど何度も指定場所とお部屋を往復して指定のシールなどを購入して貼り付けて処分するなどした経験がある人が多くいるかと思います。
ベッドは実際どのように処分されているのだろうか。
ベッドマットはどうなっているのだろうか・・・
リサイクルのプロがその疑問にお答えしたいと思います。
ベッドの種類には様々で、そのベッドの素材によりさまざまな解体、分別方法があります。
まずは、マットレスなしの簡易のパイプベッド。
こちらはフレーム全てがスチール(鉄)でできているので、実は最も環境によりベッドと言えます。
なぜかというと、なんといってもゴミの部分がほぼゼロなのです!!
鉄というのは一度製品になっても何度でも溶かして再利用可能な最高な資源なのです。
パイプベッドは鉄柵の上に別でマットレスや布団などを引いて使用するため、ベッド本体は組み立てのネジも含めて全てスチールでできております。
この手のベッドは全て購入してからご自身で組み立てをするタイプの為梱包されている緩衝材などのゴミ以外は再資源になるのです。
スチール製ロフトベッドもこの種類に入ってきます。
ただしロフトベッドを解体する時に一人で作業をするのは要注意です。
簡単な工具があればできるのですが、上のベッド部分を外すときに一人でやるとネジが外れた瞬間に一気にベッドのバランスが崩れ壁や床に大きな傷をつけてしまうこともあります。
作業は必ず二人で行うことをお勧めします。
資源リサイクルの観点からリサイクル率ほぼ100%の最高位のランクですね。
続きまして折り畳みベッド。
こちらもほとんどがスチールでできておりますが、実際に横になる背面部分が木の下地の上にスポンジ状のクッション、その上に布が被さっている構成になっております。
この時点で、木・クッション・布の3点がパイプベッドより複雑な構成となっております。
本体の鉄部分は再資源、木も再資源、クッションはゴミ、布は素材や状態によりますがゴミか再資源となります。
木の再資源とは、形のある木の板や棒の状態のものを、一度完全に細かく粉々の状態にして、多くは合板などの次の家具や建材の素材などに生まれ変わる事が可能なのです。
カラーボックスなどの木の素材を思い浮かべるとよくわかると思います。
カラーボックスなどの簡易の家具などは木でできているのに非常に軽く感じると思われると思いますし、大量に水に濡れると耐久性が悪くすぐに壊れる、または壊れた状態のものは目にしたことはないでしょうか。
話は多少外れましたが、折り畳みベッドもリサイクル観点からは結構優秀な80%のリサイクル率を誇ります。
折り畳みベッドでも一部電動折り畳みベッドがありますが、こちらはモーターや配線、リモコンなど余分の部品があるので多少下がり、リサイクル率75%程度かと思います。
続きましては一番利用者が多い木製のベッド。又は足つきマットレス
木製ベッドを素材として考えてみると、まず木、フレームを接続している金具部分の鉄、一部照明などがあるものもあるので、その場合は照明などの電気部品、装飾部分のプラスチックなどとなります。
その他にスプリングが入ったマットレス。
これが結構な厄介者。
スプリングマットレスと一言で言っても一枚物のスプリング、ポケットコイル、ダブルポケットコイルと色々な種類があります。
今まで10年以上に渡り、マットレスを何千枚と分解、解体してきた経験からお話しするとマットレスはかなり進化してきております。
まずは一枚物のスプリング。
一枚物のスプリングは内からスプリング(鉄)、ヤシの木などの木の繊維、それを止めているプラスチック、薄手のクッション、布、四つ角には四つ角専用のクッションと様々な素材からできております。
この手のマットレスは解体が一番楽な部類とは言えますが、物によって、パームがスプリングに絡み苦戦するものも多くあります。
スプリングと布分を切り離すにはスプリング部分を足でしっかり固定をして布(パーム)部分を両手でしっかり持ち一気に上に引っ張ります。
背筋がかなり鍛えられますよ (笑)
パームがスプリングの角にホッチキスでいくつもしっかり固定してあるので、なかなか綺麗に剥がれてくれないことも多々、、(-_-;)
この作業をすることにより、単に廃棄(埋め立てなど)をするより圧倒的に地球環境に良く、リサイクル率も大幅アップとなります。
残念ながら、パームやクッション部分はリサイクルできないので廃棄となります。
ポケットコイルにおいては布(クッション)、ウレタン、ポケット部分の布、鉄と主に4種類の素材からなっております。
外側のクッション部分はカッターの刃を側面にグルっと入れれば1分もかからず簡単に剥がれます。
ここからが本番。
ポケットコイルというだけあって、一個一個が袋状に密閉されたポケット状になっているのです。
布×鉄×600~1300個(商品の性質により個数が違います)
これを一個一個手作業で袋の中のスプリングを救出していくのです。
まずはポケット部分の上側をバーナーであぶり溶かしていき救出口を確保します。
化学繊維(石油)でできているのでうまい具合に少しだけ溶けてくれます。
当初はカッターで取り出し口を作っておりましたが圧倒的にこのやり方の方が早いです。
取り出し口が確保できたらあとは真上に引っ張り上げていく作業をひたすら600回以上繰り返します。
作業を行う人により差は出ますが、一個5秒から10秒くらいかかりますので、これだけで約8分。
スプリングの角部分は全てホッチキスで枠と固定されており、そのホッチキスをペンチなどで切ってから取り外していかないといけないので、角部分だけで約10分。
全て休みなく続けて作業をして一枚のスプリングベットとの格闘時間は18分程度必要となります。
これはあくまでシングルサイズのコイルの数が少ないパターンとなりますので、ダブルサイズだと約27分。
今デュアルと言われているコイルが2重になっているものも出てきておりますので、それだとさらにその倍。
考えるだけで、気が遠くなります。
ここまで格闘したらようやく木、鉄、布、クッションと分別でき、リサイクル率は65%というとことでしょうか。
最後にたまに出てくるウォーターベッド。
ウォーターベッドはとにかく重く移動がとても大変です。
素材としては枠の木や布、マット部分のビニール、中の液体(主には水)となります。
ウォーターベッドは年に一度ほど水の入れ替えや防腐剤などを入れて管理するものが多いのですが、稀にジェル状の液体になっているものもあります。
解体方法としては水や液体などはそのまま処分できないので、水と容器(マット部分)に分けないといけないので、マット部分にカッターを入れて水抜きをします。
この時に厄介なのが水を流せる場所で行わなければならないことです。
普通の排水溝がある流し台の上でできれば問題ないのですが、何せベッドマットですから大きいので無理です。
部屋の一室で行うと大変なことになる可能性もありますね。
排水溝が近くにある広めな場所でカッターを入れたら一気に中の水分が出てきますので心してカッターを入れます。
全ての水を抜きりマット部分(水の入っている容器)は廃棄、ウォーターベッドの場合はゴージャスに作っていることもあり、枠部分も分別不可のケースが良くありすべてが廃棄対象になることもあります。
リサイクル率は10%といったところではないでしょうか。
このようにベッドの廃棄一つとっても、手間と時間を惜しまずに分解、分別をすればそのまま埋め立て、やそのまま焼却の処分より相当環境にいい処分ができます。
ベッドを購入する時には最終的に捨てる際の事を考えて購入する人はごくわずかだと思いますが、そのことを考えて購入するのも環境問題を考えればよいことかと思います。
参考になったと思う方はぜひ他の方にも記事を広げていただければと思います。