PCB(ぴーしーびー)
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「PCB」とは何の略?危険な毒性とは
「PCB」とは、Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称です。その分子に保有する塩素の数やその位置の違いにより理論的に209種類の異性体が存在し、特にコプラナーPCBと呼ばれるものは毒性が非常に強く、ダイオキシン類の一つとされています。
PCBには、電気を通しにくい(絶縁性)、燃えにくい(不燃性)などの特性があることから、国内では主に電気機器用の絶縁油、各種工業における加熱及び冷却用の熱媒体、感圧複写紙等に利用されていました。工場やビルなどで使われていたトランス(変圧器)やコンデンサ(蓄電器)などの電気機器、昭和47年8月以前に製造された業務用・施設用の蛍光灯などに用いられた安定器の中にも、PCBが入っているものがあります。なお、家庭用の蛍光灯には使われていません。
PCBの有毒性が明らかになったのはいつ?
幅広く用いられていたPCBですが、昭和43年に発生したカネミ油症事件をきっかけに製造中止へと向かいます。カネミ油症事件はライスオイル(米ぬか油)による食中毒事件。西日本を中心とした広域で発生しました。カネミ倉庫社製のライスオイル(米ぬか油)製造の際、脱臭工程の熱媒体として用いられた鐘淵化学工業(現カネカ)社製カネクロールの混入が原因です。これが過熱されることでPCBや、ダイオキシン類の一種であるPCDF等が発生し、ライスオイル(米ぬか油)に混入しました。このライスオイルを摂取した人に、吹出物、色素沈着、目やになどの症状や、全身倦怠感、しびれ感、食欲不振など多様な症状が表れたことで、PCBの毒性が問題となります。これにより、昭和47年、PCBは製造中止となりました。
PCBを廃棄するためにできた法律とは
PCBを使用した製品の処分は民間主導では難しく、その廃棄問題は解決が遅れてきました。30年以上にわたって長期保管を続けている中小・零細企業もあり、製品の紛失や行方不明も出るなど、環境に及ぼす影響が懸念されています。
このような状況を打開するため、平成13年6月、国はPCB廃棄物処理特別措置法を制定するとともに環境事業団法を改正し、PCB廃棄物処理を進める制度を策定。PCB廃棄物を保管する事業者に対して、一定期間内に処分することや保管状況の報告を義務付けました。これに加えて国はPCB廃棄物の処理計画を策定し、自治体にも広く協力を求めています。また、環境事業団(現:中間貯蔵・環境安全事業株式会社)が全国5カ所に処理事業所を設置。処理事業を進めています。
処理事業を加速するため、中小企業を対象とした処理費用の軽減制度も設けられています。このような制度も活用しながら、環境被害を引き起こす前に積極的に処理を進めていかなければいけません。