安定型最終処分場(あんていがたさいしゅうしょぶんじょう)
目次
ごみの処分場にも種類がある??
安定型最終処分場とは、地下水などを汚染する恐れのない廃プラスチック類、がれきなどの産業廃棄物が埋め立てられる最終処分場のことです。「最終処分」とは、産業廃棄物を適切に処理した上で、土の中や海にそれを投入してその場所で産業廃棄物を保管することで、産業廃棄物の安定化を目的としています。
安定化を実現するために必要な期間は産業廃棄物の種類によって異なるため、最終処分場には「安定型最終処分場」の他「管理型最終処分場」「遮断型最終処分場」の3種類があります。
安定型最終処分場では、有害物や有機物が付着しておらず、雨水等にさらされてもほとんど変化しない、廃棄物の性質が安定している物が埋め立て対象になります。ここに持ち込まれる廃棄物は、腐敗しても周辺の環境を汚染せず、生活環境保全上の支障をきたす恐れは少ないです。
水に溶けたり腐敗分解したりしないため、遮水工を必要とせず、地下にある空間を利用して埋め立てることができます。穴を掘り、廃棄物を埋めて、上から覆土をかぶせるだけという単純構造になっており、処分費も安く済みます。安定型最終処分場で処分される産業廃棄物には、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、がれき類などがあります。
水溶性の廃棄物は管理型、有害物質を含む場合は遮断型へ
安定型最終処分場に埋め立てる以外の産業廃棄物で、かつ有害物質の含有量が埋立判定基準以下である廃棄物を埋め立てる最終処分場のことを、管理型最終処分場といいます。底面に遮水工を有し、汚水処理施設も備わっているため、水溶性や腐敗分解という性質を持つ廃棄物も埋め立てることが可能です。しかし処分コストは安定型最終処分場の2~3倍といわれており、非常に費用の高い処理方法といえるでしょう。
対して、遮断型最終処分場とは、廃棄物の種類にかかわらず、埋立判定基準を超える有害物質を含んだ廃棄物を埋め立てる最終処分場のことです。コンクリート製の仕切りで、雨水や地下水などと完全に遮断された構造となっています。通常、有害物質を多く含む廃棄物は無害化・不溶化の処理を施されて、管理型最終処分場で処理されるため、それ以外の廃棄物が同処分場で処理されることに。腐敗防止加工が施された分厚い鉄筋コンクリートの箱の中に、廃棄物を半永久的に保管するという施設であり、現在、全国にも20数カ所しかありません。
リサイクル率を上げるにはどこを選べばいいのか
最終処分場というのは、廃棄物をそのまま埋めるだけのものであり、再資源化できない廃棄物たちの墓場ともいえます。埋め立ては本質的な処分方法ではなく、埋め立て量をなるべく少なくとどめるために、中間処理により再資源化率を高めることが重要です。
「中間処理」とは産業廃棄物を埋め立て処分する前に、分別・減容・無害化・安定化などの処理をすることをいい、「中間処理施設」とはそのような産業廃棄物の処理をする設備を備えた施設のこと。すべての廃棄物が資源化され、最終処分するべき物がないのが理想的ですが、技術的、経済的に資源化することが困難な廃棄物や、中間処理の過程で生じる残りかすであるごみが発生してしまうのが現状です。これらを受け入れる施設が安定型最終処分場をはじめとする最終処分場であり、言葉通り、廃棄物処理の最終段階となります。
持続可能な社会を目指すためにも、産業廃棄物の搬入先は可能な限り、まずは中間処理場を選ぶこと。しかも、リサイクル率の高い中間処理場を選ぶことが望ましいでしょう。最終処分場に持ち込んで埋め立てるべき廃棄物の量は最小限にすべきなのです。