LCA(ライフサイクルアセスメント)(らいふさいくるあせすめんと)
目次
ライフサイクルアセスメントとは
LCA(ライフサイクルアセスメント:Life Cycle Assessment)とは、ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取、製造、流通、使用、廃棄、リサイクルなど)を通して、環境への影響を定量的・客観的に評価する手法です。過去の環境負荷評価では、生産段階や廃棄などに注目したものが多かったのですが、LCAのようにライフサイクル全体を通しての環境負荷を明らかにすることで、より環境への負荷を低減した製品やサービスを生み出すことにつながります。
LCAが注目される背景としては、環境問題の高まりが挙げられます。1993年に制定された環境基本法には「環境への負荷の低減に資する製品等の利用の促進」が規定されており、2001年に施行された循環型社会形成推進基本法には、製品等の生産者が、その製造段階だけでなく、使用後の環境負荷の低減(適正なリサイクルや廃棄処分)についても一定の責任を負うという「拡大生産者責任(EPR :Extended Producer Responsibility)」の考え方が明記されています。LCAの手法については国際標準化機構(ISO)においても国際標準化が行われており、ISO14040はLCAの一般原則、(140)41、48及び49はインベントリ分析、42は影響評価、43は解釈に関する規格となっています。LCAの規格化を受けて、日本でもLCAへの認知度は年々高まり、企業のCSR報告書などにも導入されています。
具体的にはどのように実施するのか
では、LCAとは実際にどのように実施するのでしょうか。まず、第一段階として、「目的と調査範囲の設定」を行います。どのような製品・サービスを対象に、何を評価するのか、評価結果はどう利用するのかなどを最初に定めておくことが大切です。分析や評価の結果をどう読み解くかも、設定した目的によって違ってきます。
次に行うのが「インベントリ分析」です。設定した調査範囲での各段階における原材料や素材、エネルギーなどのインプット・アウトプットデータを収集し、“どんなものが、どの段階でどれくらい消費され、どの程度の環境負荷物質が排出されたのか”を定量的に把握します。続く「インパクト評価」では、インベントリ分析で得られたデータをもとに、環境に与える影響を評価。結果の解釈につなげます。
LCAを実施するメリット
LCAを実施した結果は、環境調和型製品の開発や生産プロセスの見直しなどに利用されています。また、環境問題や企業の社会的責任への関心の高まりから、LCAを用いた自社の活動や製品の分析データを公表する企業も増えています。
さらに、LCAを実施した製品の環境情報を開示する日本独自の仕組みとして「エコリーフ環境ラベル」があります。企業が実施したLCA評価を第三者が検討し、一般社団法人産業環境管理協会によって認定されるもので、ラベルに付いている登録番号をエコリーフのホームページで検索すると、公開データを閲覧することができます。
環境問題への意識が高まり、できるだけ環境負荷の少ない製品やサービスを社会に普及させていくことが求められている中で、LCAの必要性はさらに重視されていくことが予想されます。その概要や手法を理解して、製品やサービスを選ぶ上での参考にできれば、環境問題への積極的な取り組みの一つとなるでしょう、