自動車リサイクル法(じどうしゃりさいくるほう)
目次
自動車リサイクルが必要な理由とは
2002年、循環型社会形成推進基本法に基づく第5番目の個別法として、「使用済自動車の再資源化等に関する法律」(通称「自動車リサイクル法」)が制定され、2005年1月1日から施行されました。この背景には、使用済み自動車の不法投棄や不適正処理などの問題がありました。
有用な金属・部品を含み、資源として価値が高い使用済自動車は、80%程度と高い比率でリサイクルされていました。しかし、金属などの素材や部品をリサイクルした後に残る「シュレッダーダスト」を処理するための埋立処分場のひっ迫や、鉄スクラップ価格の低下などによる逆有償化(自動車ユーザーが処理費を負担し使用済自動車を引き渡す状況)が起こるなかで、使用済自動車の不法投棄・不適正処理が進む傾向がありました。
不法投棄された使用済み自動車による環境汚染や、不適正な処理により大気放出されたフロン類がオゾン層を破壊するなどの事態を回避するため、クルマの所有者、関連事業者、自動車メーカー・輸入業者がそれぞれに役割を担い、クルマのリサイクルを進めることを目的として、自動車リサイクル法が制定されました。
リサイクル料金は誰が負担するもの?
クルマのリサイクルでは、メーカーや関連事業者だけでなく、クルマの所有者にも、「使用済自動車の排出者」としての役割が求められています。これは、所有者が自動車の長期使用や購入時の環境配慮設計自動車の選択などに加えて、廃棄物の処理に伴う環境への負荷の低減に関して、ある一定の責任を負わなければならないとの考えに基づくものです。
そのためリサイクル料金は、原則として新車購入時に所有者が支払うこととなっています。支払われたリサイクル料金は、資金管理法人(財団法人 自動車リサイクル促進センター)が収受。使用済自動車としてリサイクルされるまでの間、安全かつ確実な方法で管理・運用し、リサイクルの義務を負う自動車メーカー・輸入業者からの請求に基づき払い渡します。
着実に成果を上げる自動車リサイクル
自動車リサイクル法に基づいて、自動車メーカー、輸入業者などがリサイクルに取り組んできたため、ユーザーが支払った料金で処理する3物品(フロン類、エアバッグ類、シュレッダーダスト類)の処理は着実に進行。2015年度の実績では、シュレッダーダスト類が96.5~98.8%、エアバッグ類が93~94%という高い比率で処理されています。また、不法投棄も大幅に減少している状況です。さらに自動車メーカー・輸入業者では、埋め立て処分を行うシュレッダーダストのリサイクル率の向上や、リサイクルしやすい自動車を作るなどの取り組みも進んでいます。
今や私たちの生活に欠かせない必需品となった自動車。有用な資源に対し、再利用による環境負荷の軽減などを理解した上でリサイクル料金の負担する、使用済み自動車は自治体の登録・許可を受けた引き取り業者へ引き渡すなど、ユーザーとしての役割を果たしましょう。